北海道


日本最北端の駅も再開発工事中でその旅情は減衰する。駅舎の前に鎮座するように新たに映画館ができた(写真右)

10.10.16執筆


かつては広い構内だったが、市中心の移転と駅前再開発に伴い棒線駅化されてしまった


ノシャップ岬。奥に見えるのは利尻富士

 ご存じ、日本最北の駅。最近まで島式ホーム1面2線の構造だった。しかし、稚内市の中心が南稚内駅周辺へ移転したことにより利用者が少なくなり、また駅前の再開発工事の進捗に伴って棒線化された。かつて線路終端部分に立てられていて、関口知宏さんが旅をしNHKで放送された「鉄道12000kmの旅」でも登場した「最北端の線路」の看板も撤去されており、記念撮影をするためのモニュメントが欠けている状態。何かしら最北端がよく分かる標が欲しかった。
 特急停車駅ゆえ、当然駅は有人駅でみどりの窓口も設置されている。現在の駅舎は再開発のため2010年度中には取り壊されることになっており、新しい景観にマッチした新駅舎が建てられることになっていて、楽しみである。既に再開発の最初の産物である、映画館などが入った再開発ビルが、駅前にオープンしている。  

 筆者一行は、はるばる旭川から6時間もの時間をかけて普通列車でやってきた。折り返しの時間は2時間ほどあり、駅周辺で昼食をとったあと近くにあるというノシャップ岬を訪れることにした。
 だが、バス停があちこちに散らばっており、ノシャップ岬へはどこから乗ればいいかわからない。駅舎には観光案内所が併設されており、そこで聞いてみることにした。だが受付係は電話応対中。相手は車で稚内に向かっているらしい。やっと電話が切れ、その場所を尋ねると、無愛想に駅周辺と岬周辺の地図を出して、マーカーで示してくれた。
 その指示通りに駅を少し離れたところの通りへ。ノシャップと駅を結ぶバスは市内路線でかなり頻発しており、待つことなく乗ることができた。ほんの10分ばかりで岬へ到着。いるかのモニュメントが迎えてくれた。
 記念撮影スポットの向こうに見えるのは利尻富士。三脚を出して、一行が一緒に写真に写る。そのあとそばにある土産物店で思い思いの土産を購入し駅へ戻った。岬のすぐそばに水族館があり、ここも見学したかったのだがさすがに時間がなく無理だった。
 先ほどは慌ただしかったため、改めて駅周辺を見回してみる。なんだかやはり静まりかえっている。なるほど、確かに乗降客数は一日100人台らしい。でも、再開発によって賑わいを盛り返す余地は十分にあるように思われた。

 やがて上り旭川行きの改札が始まった。改札は入線ぎりぎりになって行われるため、早めにホームに入ることは不可能である。やっと改札を通過した後は、列車に荷物を置いて急いでホーム随所を撮影した。ホーム屋根の柱には、主要な駅からの営業キロが表示されていた。東京駅からは1596.1kmだという。ずいぶん遠い距離を乗ってきたものだ。これから、今度はこの道のりをゆっくりと戻ることになる。