関東地方


改札の奥は相模湾。東海道本線の、数少ない無人駅だ

11.2.16執筆


駅舎


関東大震災殉難碑。地震で列車が海に転落した

 日本を代表する主要幹線である東海道本線。その名の通り、東海道に沿うようにして作られた線であるが、国府津〜沼津の間は本来の東海道を少し外れ、伊豆半島の付け根を丹那トンネルを使って突っ切る路線に変更された(旧線は現在の御殿場線である)。東海道沿線は古くから主要交通路として栄えたが、こちらの後付けルートは、切り立った崖のそばを走る路線で地形が悪い。それを象徴するような場所に、根府川駅はある。
 駅からは相模湾が一望でき、元旦には初日の出列車が停車する駅にもなっている。
 メイン・ルートゆえ、東海道本線のほとんどの駅には駅員が配置されている。しかし、根府川はその中で数少ない完全無人駅だ。ここを除けば、美濃赤坂支線にあるくらいである。

 駅舎は立派な木造瓦葺き。傾斜が大きく、線路は崖の下を走っている。Suicaエリア内で改札に簡易改札機が設置されているが、肝心の券売機の稼働時間はなんと朝7時から夕方4時半まで。それ以外ではきっぷを買うことすらできない。代わりに「乗車駅証明書発行機」が備えられ、下車駅で精算する方法をとっている。当駅から普通列車グリーン車に乗る場合、証明書を受け取って乗車すれば、車内でグリーン券を購入しても事前料金になる特例が適用されている。

 駅の片隅に、「関東大震災殉難碑」なる碑がある。これは、大正12年に起こった関東大震災で、当駅に近づいていた列車が地震の影響で海に転落、乗客や職員、周辺住民が多数犠牲となり、その追悼のために建てられたものである。
 景色の良いスポットや、ファンに愛されるスポットには、どういうわけかこのような苦い過去をもつものも数多い。ただ楽しむだけに訪れるのでなく、そんな過去にも思いをいたせば、旅の味はまた複雑なものになってくるはずだ。