青梅鉄道本社として建てられた建物が駅舎として現役
11.2.12執筆
中央線からの直通電車が日中も数多く発着する青梅駅。東京のベッドタウンの西端として機能している。
青梅は、「おそ松くん」「天才バカボン」などで日本を代表する漫画家・赤塚不二夫を記念した赤塚不二夫会館があることで知られる。また、会館の隣は「昭和レトロ商品博物館」。地域として「昭和レトロ」をアピールし、観光客誘致を目指している。
駅も、「レトロステーション」としてリニューアル。発車メロディを「ひみつのアッコちゃん」のテーマ曲に変えたり、1924年築でもともと古い駅舎をレトロ風外観にしてみたりして、レトロ観光促進に一役買っている。
駅の看板類はデザインが統一され、駅名標も広告も、隷書体の漢字を使用。広告がデザインを統一する例は珍しい。照明も一部に電球色が採用され、風情を更に増している。
圧巻なのは、駅舎と、1面しかない島式ホームとを結ぶ地下道の壁面に並べられた映画看板の数々。すべて、青梅出身で、「日本最後の看板絵師」とも称される久保板観さんが手がけたものだ。NHKの朝ドラになり、のちに映画化された国鉄推薦の「旅路」、挿入曲が大変有名になり、現在も常磐線で発車メロディとして使われている、オードリー・ヘプバーンの「ティファニーで朝食を」などなど。これは最近のものだが、JR幾寅駅で撮影され、大ヒットした高倉健主演「鉄道員(ぽっぽや)」の看板まである。
昭和といえば、映画全盛の時代。板観さんは絵師の仕事を通じて、青梅の昭和レトロの牽引役としても活躍しているのだ。
駅の北側には、蒸気機関車を多数展示していることで有名な、JR東日本が所有する青梅鉄道公園もある。昭和を思い出したい人も、鉄道をこよなく愛する人も、心安らぐ街・青梅。すてきな雰囲気の駅に迎えられて、ぜひ訪れてみてほしい駅の一つだ。